COLUMN
世間で注目を集めるストリートについてスノーボーダーとして改めて考える
2021.07.30
日本人スケートボーダーたちの躍進により、東京五輪で大きな注目を集めたストリートというジャンル。正式には言葉のとおり、競技で使用されるスケートボードパークではなく、街中で滑ることを指す。五輪会場を出たとたんに「スケボー禁止」のポスターが掲示されているように、高い秩序が保たれていて世界でもトップクラスの清潔さを誇る日本だけに、なかなか理解を得られない現実があるわけだ。
不法侵入や公共物を破壊することはもってのほかだが、先日のスケートボード・ストリート種目で銅メダルを獲得したジャガー・イートンは、「スケートボードはスポーツを超えて芸術であり、創造的な表現方法」というコメントを残した。芸術をとってみても、日本でストリートアートは愚かな行為だとされるわけだから、浸透させるハードルは高い。
しかし、落書きとされてきたストリートアートが街並みを豊かにすると、少しずつ見直されている風潮がある。そのうえで、今般のスケートボーダーたちの活躍。ストリートという文化価値を浸透させる好機であることは間違いない。
スケートボードにインスパイアされて進化してきたストリートスノーボーディングには同様の価値観があるわけだが、一本のムービーをご覧いただきたい。NITRO(ナイトロ)が2014年に公開したチームムービー『THE BAD SEEDS』の撮影のため、オーストリア出身のドミニク・ワグナーがロシアを訪れた際のフッテージ集である。
バックミュージックなし。転倒シーンや市民との交流、メイクしたときの達成感までもが描写された生映像となっているので、ストリートスノーボーディングを深く知るにはうってつけのムービーだ。日本人スノーボーダーからも理解が乏しいジャンルだけに、改めて考えてみてはどうだろう。