2016年8月18日に産声をあげた弊誌「BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE」は、後世に伝えるべき価値あるコンテンツを見極めて紙として残すべく、これまで11冊の書籍を刊行してまいりました。ウェブマガジンは8年間、一日も欠かすことなく毎日更新。熱心なスノーボーダーたちとコミュニケーションを図りながら、創刊8周年を迎えることができました。これもひとえに、読者のみなさまのおかげです。日頃よりご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。

そこで、創刊8周年を記念して、弊誌バックナンバーすべて800円引きのキャンペーンを行います（ISSUE 2、5は完売のため除く）。タイムレスなテーマを題材に編んだ弊誌を読むことで、日本だけでなく欧米のスノーボード文化に対する理解を深め、美しい写真たちを眺めながら紙媒体ならではの手触り感を得る。きたる24-25シーズンに向けて、モチベーションを高めていただけたら幸いです。
 

──フリースタイル史を紡ぐ20人の足跡──

 
　表紙から背表紙を介して裏表紙にかけて刻まれた20本のトラック。すべてが自由そのものだ。直線的なラインもあれば、緩やかな弧のものから細やかなターンなど、それぞれが個性を描きながら、そして交差しながら、フォールラインに従って滑り下りていく。
 
　弊誌が掲げる最大のテーマであるフリースタイルスノーボーディングは、1980年代初頭に産声をあげた。すぐさま競技として発展していくなかで、広大なバックカントリーへ足を踏み入れ急峻な斜面を駆るエクストリーマーたちが、また、スケートボードの影響を受けて躍起になって技を習得するスノースケーターたちがそれぞれ出現。特に後者の若者たちはニュースクールと呼ばれる一大ムーブメントを巻き起こし、大挙をなしてトリックを劇的に進化させていくことになる。
 
　飽くなき探究心がそうさせたのだろう。やがて、手つかずのバックカントリーでトリックを繰り出す難しさと奥深さに魅了され、バックカントリーフリースタイルが確立。そして、スケートボードさながら街中に繰り出して独自の発展を遂げたストリートスノーボーディングとともに、映像や写真を通してそれらの魅力を発信することがプロとしての生業となった。
 
　そのいっぽう、98年長野五輪からオリンピックの正式種目としてハーフパイプが採用されると、それまでのように競技者でありながらプロとして表現者の道を歩む二刀流が理想だったものの、競技化の加速により両立することが困難を極めている。14年ソチ五輪からスロープスタイルが、18年平昌五輪からビッグエアがそれぞれオリンピック種目に加わったことでトリックの高難度化はさらに急がれ、よりメジャースポーツと化すも、それに抗うように守り続けてきた価値観がある。
 
　弊誌ISSUE 7「BURTON, SIMS ，AND CRAIG KELLY ──フリースタイル温故知新──」をご一読いただいた読者諸兄姉はご存知かと思うが、スノーボードのような乗り物が誕生してから半世紀あまりが経過した現在。これほどまでに美学を貫きながら闘うアスリートが、ほかのスポーツに存在するだろうか。はたまた、たった150cmあまりの板にまたがり、命をかけて地球というキャンバスを彩るプロスノーボーダー、言い換えればアーティストたちがメインストリームに君臨している。
 
　こうした現代のシーンは、これから紹介する20人のスノーボーダーたちが深く関わって創り上げられた。こだわりを強く持ち確固たるスタイルを育み、次世代にインスパイアを与えることで紡がれてきたフリースタイルスノーボーディングの歴史。パウダースノーに刻まれたトラックのように、20人のレジェンドたちはそれぞれが個性を放ちながらスノーボード史に足跡を残し、そして交わりながら、僕たちが愛してやまないこの世界を創り上げてくれた。彼らに最大の敬意を表し、この一冊を贈る。
 
BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE 編集長　野上大介
 
RIDERS
テリー・キッドウェル
クレイグ・ケリー
ショーン・パーマー
ノア・サラスネック
ジェイミー・リン
ブライアン・イグチ
テリエ・ハーカンセン
ピーター・ライン
JPウォーカー
デバン・ウォルシュ
布施 忠
デビッド・ベネデック
ギギ・ラフ
ニコラス・ミューラー
トラビス・ライス
エーロ・エッタラ
ショーン・ホワイト
國母和宏
ダニー・デイビス
マーク・マクモリス
 
 
ISSUE 9　20 TRACKS OF THE GREATEST RIDERS ──フリースタイル史を紡ぐ20人の足跡──　
2019年4月28日発売 / A4スクエアサイズ 210mm×210mm / フルカラー / 日本語・英語 / 148ページ / 定価2,500円→特別価格1,700円
 

cover photo: Claudio Casanova

※編集部が出張中のため、2024年8月26日（月）以降に順次発送いたします