BACKSIDE (バックサイド)

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https://backside.jp/8th_anniversary_issue8/
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FEATURE

【創刊8周年特別企画】弊誌バックナンバー800円引きキャンペーン第6弾「THE GRAB ──自分らしく、カッコよく──」

2024.08.24

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2016年8月18日に産声をあげた弊誌「BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE」は、後世に伝えるべき価値あるコンテンツを見極めて紙として残すべく、これまで11冊の書籍を刊行してまいりました。ウェブマガジンは8年間、一日も欠かすことなく毎日更新。熱心なスノーボーダーたちとコミュニケーションを図りながら、創刊8周年を迎えることができました。これもひとえに、読者のみなさまのおかげです。日頃よりご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。

そこで、創刊8周年を記念して、弊誌バックナンバーすべて800円引きのキャンペーンを行います(ISSUE 2、5は完売のため除く)。タイムレスなテーマを題材に編んだ弊誌を読むことで、日本だけでなく欧米のスノーボード文化に対する理解を深め、美しい写真たちを眺めながら紙媒体ならではの手触り感を得る。きたる24-25シーズンに向けて、モチベーションを高めていただけたら幸いです。
 

INTRODUCTION
はじめに

 

Danny Davis
Squaw Valley, California, USA in 2017.
photo: Dean Blotto Gray

 
 バインディングを介して両足が固定されているのだから、ボードを支えなくてもエアやスピンはできる。今号を制作するにあたり、スノーボードにおけるグラブの意義を自問自答するところから始めることにした。さらに言えば、オーリーの必要性も懐疑的である。パークキッカーなどアップ系のジャンプであれば、正確なオーリーをしなくても宙を舞うことができるからだ。
 
 どちらのアクションもスケートボードに出自を持つ。1979年にアラン・ゲルファンドがトランジションでフロントサイドエアを放ったことで、ボードとともに飛び出すアクションが彼のニックネームである“オーリー”と名づけられた。後にストリートスケートボーディングが産声をあげると、フリースタイルのゴッドファーザーとして知られるロドニー・ミューレンがフラットランドで応用。いわゆるオーリーが完成したのだ。宙に飛び出したスケートボーダーたちは空中姿勢を安定させるためにグラブを開発。それは必然だったのだろう。
 
 こうして、スケートボードをバックボーンに持つフリースタイルスノーボーディングは、ハーフパイプを中心にグラブもトレースされていくことになる。そして、ゲレンデの自然地形やパーク、バックカントリーでもグラブトリックは定着していったのだ。
 
 そのうえで冒頭の話につながるわけだが、シフティはもちろん、下半身を抱え込んだ安定した体勢のエアはノーグラブでもクールだ。しかし、これにはオーリーが必要不可欠。雪面を弾いた反発でボードを引き上げることが可能になり、下半身を引きつけるからこそボーンアウトやシフティなど蹴り出すアクションが入れやすくなるからだ。同時にグラブしやすくなるということでもある。
 
 しかし、現在のスケートボード界では、グラブしないエアのほうがクールであるという見方もあるそうだ。エアが前提となるバーチカルとストリートでは見解は異なるのだろうが、足で板をさばくことが前提のスケートボードではグラブするよりも、ノーグラブのほうが難しいからのようだ。
 
 では、グラブの意義とはいったい。6ページからの「グラブの起源をたどり、グラブの美しさを知る。」で綴っているように、一部は誤った認識でスノーボード界に浸透してしまったが、ボードをつかむ位置には絶対的なルールが存在する。いわゆるティンディやテイルフィッシュ(インディとステイルフィッシュはともに後ろ手でバインディングの両足の間をグラブするトリックだが、後ろ足のバインディングよりも外側のテール寄りをつかむこと。そのほうが簡単なのでNGとされる)はタブーとされているわけだが、そうした制約があるからこそ、両足が固定されているスノーボードの場合、グラブが難しくなるわけだ。
 
 そのうえで、自分らしさを表現することがグラブの最重要テーマである。フリースタイラーがグラブに憧れる理由。それはカッコいいからであり、カッコつけたいから。上半身と下半身を反対方向へトゥイーク(ひねること)し、窮屈な体勢になればなるほど難しいのだが、結果として空中姿勢が安定する。カッコつけるためにつかみ、自己表現することで身体がロックされて体勢が整い、時空を制したかのような気持ちよさを味わえる。それがグラブの醍醐味だ。
 
 ビッグキッカーで飛ぶ必要なんてない。ライディングスキルに見合ったヒットポイントを見つけてみてはどうだろう。そうすればきっと、フリーライディングの楽しさも再確認できるはずだ。
 
 自分らしく、カッコよく。フリースタイルスノーボーディングの基本である、グラブのすすめ。
 
BACKSIDE SNOWBOARDING MAGAZINE 編集長 野上大介
 

CHAPTER 1
グラブの起源をたどり、グラブの美しさを知る。

 

 
スノーボードのグラブトリックはすべて、スケートボードのコピーである。しかし、異なるアクションやバインディングの有無も含めて、ミスコピーされているのが現実だ。そこで、フリースタイルスノーボーディング発祥の地、米カリフォルニア州に位置する世界最大手メディアであるTRANSWORLD SNOWBOARDINGによる協力のもと、主要グラブの起源をたどる。そして、その美しさをお届けする。
 

INDY
後ろ手で両足の間のトウサイドをグラブ

 

 
厳密に言えば、スノーボード界で使われてきたインディは世界的に間違っていたようだ。1977年、米カリフォルニア州サンタモニカにあったドッグボウルにて、バートエアを最初に決めたスケートボーダーであるトニー・アルバは、宙を舞いながらトウサイドをつかんでいた。そのトリック名はフロントサイドグラブと呼ばれ、彼がこのグラブを有名にしたことは事実である。そのうえで、スノーボード界ではフロントサイドグラブのことをインディと呼ぶようになったのだが、本来のインディは、スケートボーダーのデュアン・ピータースによって、バックサイド方向へのアクションでフロントサイドグラブと同じ位置をつかんだときのグラブ名として、INDEPENDENT TRUCK COMPANYにちなんで命名された。フロントサイド方向へのアクションでこの位置をつかむグラブ名は、フロントサイドグラブとしてすでに存在していたからだ。ちなみに日本では、フロントサイド方向へボードをシフトさせて前足寄りをつかんで後ろ足をポークするとクレイルと呼ぶが、これも誤用であり正しくはフロントサイドグラブのテールボーンとなる。クレイルを正確に説明するとフロントサイド、もしくはバックサイドへボードをシフトさせ、後ろ手でノーズ、もしくはノーズと前足の間にあるトウサイドをグラブすること。しかし、20年以上の時を経て正すことは困難であり、ここではフロントサイドグラブではなくインディとさせていただく。

 

CHAPTER 2
スピンよりもグラブにこだわる男
自称“ トゥイーカー”、ギギ・ラフがスタイリッシュな理由。

 

 
端正なルックスとは裏腹に、超絶スティープな大斜面をアグレッシブに攻める。大自然が織り成すスパインで飛び跳ね、ロケーションを最大限に活かした豆粒のようなメソッドの写真だったとしても、それが誰なのかがひと目でわかるほどスタイリッシュに宙を舞う。欧州を代表するレジェンドライダーのひとり、ギギ・ラフ。1990年代前半に確立したフリースタイルスノーボーディングの歴史とともにスノーボード人生を歩んできたギギは、シーンで議論され続けているスタイルについて常に考え、そして体現してきた。スピン以上にグラブにこだわり続け、25年あまりが経過した今。自らを“トゥイーカー(ひねり屋)”と名乗るグラブの名手に話を聞いた。
 
つづく

 
CHAPTER 1 グラブの起源をたどり、グラブの美しさを知る。TAIL、STALEFISH、MUTE、MELON、METHOD
CHAPTER 2 スピンよりもグラブにこだわる男 自称“トゥイーカー”、ギギ・ラフがスタイリッシュな理由。
CHAPTER 3 勝敗よりもスタイルにこだわる男 ダニー・デイビスのグラブは、なぜカッコいいのか。
CHAPTER 4 小西隆文が語る フリーライディングが面白くなる、グラブ談義。
CHAPTER 5 やり方を覚えるより、創造力を高める。
 
 
ISSUE 4 THE GRAB ──自分らしく、カッコよく── 2019年2月15日発売 / A4サイズ / フルカラー / 日本語・英語 / 144ページ / 定価1,500円→特別価格700円
 

cover photo: Matt Georges

 

※編集部が出張中のため、2024年8月26日(月)以降に順次発送いたします

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