BACKSIDE (バックサイド)

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OAKLEY

ChloeKim

自分らしく生きる女性のためのリーディングブランド

 
誕生から50年以上もの歴史を誇るQUIKSILVER(クイックシルバー)が女性にフォーカスをあてたブランドのリリースを発表したとき、業界からはにわかにどよめきが起こった。サーフシーンにおいて、長きにわたりそのコミュニティを形成してきたのはメンズライダーたち。当然、その人気を享受するのも彼らが主流だったからだ。
 
もちろん、女性の活躍がまったくなかったわけではない。女性サーファーにも素晴らしい才能があることは誰もが認知しており、水中にもコミュニティにも、彼女たちの理念は存在していた。当然、ニーズも明確だった。
 
「女の子のためのオシャレなサーフウエアがあれば、私たちはもっとアクティブに、さらにクラッシーにサーフィンを楽しむことができるのに」
 
1990年、そんな女性たちの声に反応したQUIKSILVERは、女性サーファーのためのスイムウエアブランド「ROXY(ロキシー)」を立ち上げた。未開拓のマーケットを担うということはQUIKSILVERにとっていわばチャレンジでもあったが、その瞬間を待ち焦がれていた女性サーファーたちの目に、そのブランドは斬新かつ魅力的に映った。
 
本格的なレディースブランドが発信するアイテムや情報は話題性も抜群。それまでメンズの陰に隠れがちだったガールズシーンはたちまち沸き立ち、他ブランドもレディースアイテムを開発し追随。これまでのサーフマーケットは、ROXYの誕生を機に大きく生まれ変わることとなった。
 
スイムウエアを皮切りに、翌年にはスポーツウエアを、その翌年にはデニムライン&スノーウエアを発表。1993年に発売されたボードショーツはさまざまな女性のニーズを反映したデザインが好評を得て大きな話題となり、今なおROXYのアイコンともいえるヒット商品だ。
 
さらに1995年にはアクセサリーやアイウエア、フットウエア、ウォッチラインが加わり、アクティブで情熱的な女性たちをトータルサポートできるブランドへと急成長。1996年にデビューを果たしたニューヨーク・ファッションウィークではブランドの革新性と優秀性が認められ、カリフォルニア・ライジング・スター賞を受賞。誕生から6年、ROXYのセンスと影響力が国を越えて評価された瞬間だった。
 
2003年を迎えると、スノーボード界に革新をもたらしてきたマイク・オルソンらが率いるアメリカのスノーボードメーカー、マービン・マニュファクチャリングとの提携によるスノーボードを発表。季節ごとにサーフとスノーを交互に楽しむ女性たちのことを見据え、サーフと並行してスノーボードプロダクト開発への取り組みもスタートさせた。
 
これまで多彩な手法でマーケットを賑わせてきたROXYが、国籍を越えたあらゆる世代の女性たちからの注目を集めながらコアなファンを失望させることなく躍進できたのは、製品を身に着ける女性たちの視点や価値観に寄り添ったプロダクト作りにほかならない。女性ならではのライディングのこと、体格のこと、テクニックレベルのこと、寒さや暑さに影響を受けやすい敏感な肌のこと、女性を取り巻く環境のこと──。表面的なデザインやファッション性だけを求めるのではなく、用途やライフスタイル、時代にマッチしたプロダクト作りを一貫してきたからこそ、ROXYは今なお評価され、愛され続けているのである。
 
rider: Chloe Kim
text: Michiko Naruse

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