BACKSIDE (バックサイド)

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INTERVIEW

YOKOHAMA TIRES × BACKSIDE 特別連載企画
最高の冬を迎えるために。それぞれの冬支度。【プロスノーボーダー・植村能成】

2018.11.13

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本格シーズンを目前に控えた11月。プロ・アマ問わず、スノーボーダーであれば、“最高の冬”を迎えるための準備を整えている時期だ。スノーシーズンは限られているからこそ、万全を期したい。そこで、プロスノーボーダー、業界関係者、ライフスタイラーと立場の異なる達人たちによる、三者三様の“冬支度”を連載でお届け。第1回目は、プロスノーボーダー・植村能成に話を聞いた。

希望の先にある理想を求めて

希望の先にある理想を求めて

植村能成がプロスノーボーダーとして活動をはじめて、26回目の冬がやってくる。

プロになれば一年中がシーズンだ。春はゲレンデがクローズした後も雪を求めて標高の高いエリアに向かい、夏は残雪をたたえる北米の山に向かい、時には冬を求めて南半球に向かうこともある。

「ずっとシーズンを目の前にしてる感じなんですよ。力仕事をしてたらスノーボードの筋肉が鍛えられるなとか、遊んでてもこの動きってスノーボードにつながってるな、みたいなことを考えちゃいますから。雪とはまったく関係ないことしてても結局、着地するところはスノーボードなんですよ。だから何をしてても準備といえば準備、って感じはあります」

 

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何気ない瞬間も含め、すべてがスノーボードにつながっている

 

仲間からは名字のアタマをとって“ウエ”と呼ばれる。喋り口調も表情も性格も穏やか。そして、その滑りの動きも人柄を表すように、余計な力の入らないスムースさに溢れている。だが、ラインの選び方はアグレッシブだ。柔らかで無理のない動きのまま、誰もが目を見張るようなスピードで急斜面を滑り抜ける。飛べるポイントは見逃さない。コンペティターとして養ってきた瞬発力とテクニックで、ウエにしかできない空中姿勢を形作ってみせる。スノーボードの世界ではオリジナリティに富んでいることを“スタイルがある”として称賛するが、ウエの滑りは、まさにこのスタイルに満ちたものだ。しかも情熱的ではあるけれど落ち着いていて、ガツガツしていない。どこか気品のような余裕さえ漂わせる。

ーそんなウエは、シーズンを目前にしてどんなことを考えるのだろうか?

「この冬は絶対にこれをやろう!っていう目標を作ったり、課題を設定したりする気持ちはないんです。どっちかって言ったら、ここの山を滑りたいなぁとか、この斜面は条件がいいときに写真を残したいなぁ、とか。それをするためには、こんな感じの滑りができたらいいなぁ、っていうユルい希望みたいなものをずっと抱えてます。で、滑っているうちにどんどん新しいものが出てきて、変わっていく感じです」

 

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常人が見たら想像もできないラインを、この時期から想像する

 

滑りと同じだ。力で押し切るのではなく、天気や地形、自分の体力、そして気持ちを総合的に判断して、もっとも自然な流れを感じとることを意識している。そして、その中にあるチャンスを見逃さないようにしている。

「それこそプロで活動してるとオリンピックに出た人と一緒に滑ったり、世界的に有名なスノーボーダーと撮影が一緒になったり、スノーボードのカルチャーを作ってきたような人と話したりします。そういうすごい人たちの中に混じってると毎回、おお~って驚かされるようなことがいっぱい出てくるんですよ。で、いろんなことを勉強しつつも、まだまだ遊びの幅は広いな、自分もこんなふうに滑っていけたらもっと理想に近づくなっていう感触をつかんで、それがまた次の希望につながっていくんです」


求めるライディングのための道具

求めるライディングのための道具

変化する目標に合わせて、臨機応変に対応する。それがウエのやり方だ。だからこそ、ある程度定まった目標に対してはピンポイントで狙いを絞る。

5年前、ウエは自らのスノーボードブランド「UMLAUT」を起ち上げた。

「プロになる前から20年以上、同じブランドにサポートしてもらってきました。その中で“こういう板に乗りたい”っていう自分の理想を追いかける気持ちは年ごとに明確になっていったんです。ひとことで言うと、“軽い力でコントロールできる板”ですね。それを求めて、そのブランドでもいろいろな板に乗って、開発にも携わってきました」

しかしそのブランドを離れたある日、昔からの仲間が作っている「FIELD EARTH」という板で、ウエは自分の想いの本質に巡り合うことになる。

「本村勝伯(もとむら・かつのり)っていう元プロライダーが、北海道の旭川を拠点に作ってる国産ブランドなんですけどね。びっくりしました。とにかく操作が軽い。いいポジションにバシッと乗れたときの一体感がハッキリしてて、板の挙動がつかみやすい。パウダーに入っても初速は速いしスムース。こんなの乗ったことないよ! 何だこれ!? って感じでした。それまでのブランドも世界的に最先端を走ってました。けど、そことは全然違うアプローチで、自分と同じものを求めてる人がいた。しかもこんなに身近で、こんなすごいもの創ってるなんて!ってメチャクチャ驚きました」

 

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ボードとの一体感が生み出した、このスピード感がたまらない

 

それをきっかけに、ウエは本村に板作りを依頼する。

「自分のブランドを作りたい。その理由は、僕がしたいスノーボードをするための道具がほしいからです。それは、フリーライド用とか、ジャンプ用っていうことじゃないんです。僕がやりたいのはスノーボードそのもの。長くスノーボードとつきあって、スノーボードをして生きていきたい。1日でも、1ヶ月でも、1シーズンでも長く滑りたいと思ってます。そう考えたときに、本村が作る板が理想でした。理由は、本村が滑る楽しさを理解していたから。実際、板を作りたいんだっていう話を始めたら、ホントに数日がかりの話になって、徹底してそれぞれのフィーリングを交換し合ったんです。で、最終的にハードウエアはFIELD EARTHにお願いすることにして、僕が思い描いている乗り味を伝えて形にしてもらい、UMLAUTが生まれました」

 

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雪山を自由に“アート”するためのブランド、それがUMLAUT

 

できあがった板は、まさに理想の逸品だった。

「スノーボード観がまったく変わるくらい、それまでとは段違いに滑ることが楽しくなったんです。何ていうか、気持ちや考え方を重視することも大切だけど、そういうマインドの部分を支えるためにハードウエアが必要になるんだと思ってます。板もそうだし、ワックスもそう。ハードウエアに関しては自分の使い方に合ってて、手入れが整ってるに越したことはない、っていうのは思ってます」


道具にこだわり最高の冬を想う

道具にこだわり最高の冬を想う

この時期、ウエは板を眺める時間が多くなるという。

「自分の部屋で、ただ黙って板を眺めるんですよ。この板だったらこんな滑りができるかな、とか考えながら」

傍から見ればウエはじっと板を見ているだけだが、きっと頭の中は具体的な滑りのイメージが溢れかえって大変なことになっているはずだ。

 

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冬に向けて想いを馳せる、至福のとき

 

「たしかに頭の中はそんな感じです(笑)。道具に触ることでイメージを作りやすくなるし、季節が移ってるなっていうのを実感して気持ちを盛り上げたり、ですかね。それこそ、寒くなってきたらタイヤを換えたり」

住んでいる札幌では、冬の雪道は踏み固められたブラックアイスバーンになる。

「その凍った路面のことを思い出して、今年はタイヤ替えたほうがいいかな、とか、気持ちよくブレーキを踏めることを考えちゃいますね。いくら気をつけてても人間には限界があるから、予想できないことって起こると思うんですよ。そのときに頼りになるのはハードウエアの性能ですからね」

 

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頼りになるハードウエアに履き替え、準備は万全

 

それから、とウエは静かに続ける。

「最近思うのは、違和感がないこともハードウエアの性能としてすごく重要だな、と。UMLAUTはコントロールする楽しさもですけどけど、パウダーの中をただまっすぐ滑ってるときの気持ちよさも大事にしてるんですよ。ブーツのソールの硬さや、バインディングの着け心地、クルマのシートのちょうどいい硬さ感や、タイヤのロードノイズの小ささなんかも同じだと思います。こういう、操作してないときに影響してくるベーシックな部分って積み重なるとデカイんですよね。すごく細かなことだけど、気をつけるようにしてます」

静かに道具のケアをしながら、内側では来るべき冬を思い描き続けている。

 

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滑走性の高いシンタードベースのソールに、さらに磨きをかける

 

「なんだかんだ言って結局、一年中スノーボードのことしか考えてないんですよ(笑)。僕は少しでも長くスノーボードをしていたいんです。でもそれは85歳まで滑りたいとか、そういうことじゃないです。滑ることに関しては、何をしてても、どんな状況でも、常にスノーボードやっててよかったな、最高だなって思ってます。生活も、すべてがスノーボードに繋がってるから最高です。そういう自分の生活とは別に、スノーボード自体がもっとカッコいいものになっていってほしいと思ってるんですよ。これまでプロでやらせてもらってきた恩返しとか、ある程度先頭を走ってる者としての責任感とか、言葉にすればいろいろな言い方があります。けどシンプルにもっと、スノーボードってやってたらカッコいいよね、って思える空気感になってほしいんですよ。スノーボードをカッコよくしたい。そのためには、自分がカッコいいなと思えるスノーボードを続けていくしかないんじゃないかと思ってるんです」

想像してみてほしい。最高の冬が26年間も続いていることを。ただし、それは季節が移るように、待っていればやって来るものではない。常に最高の冬を想い、願い、形の伴わないイメージを見据え、道具の細かな違いにこだわり、生活のすべてをスノーボードに帰結させるライフスタイルを成立させることで叶うものなのだ。

ゆえに、ウエが最高の冬を迎えるためにしていることは、ただひとつだ。

「最高の冬のことを考え続けています」

text: Takuro Hayashi photos: Tsutomu Nakata

profile

植村能成(うえむら・よしなり)

生年月日: 1972年6月11日
出身地: 北海道札幌市
スポンサー: UMLAUT、VOLCOM、REVOLT、BURTON

YOKOHAMA TIRES COLUMN

冬の道路を運転する際にもっとも気を遣うのが、氷に覆われた凍結道路でのブレーキではないでしょうか?
タイヤが凍った路面で滑ってしまう原因でもっとも影響が大きいのは、タイヤと氷面との間にできる水の膜の存在です。タイヤが氷を押しつけた圧力で氷面が融け、タイヤとの間に水の膜が発生し、タイヤが氷の表面から浮いてしまうのです。
ヨコハマタイヤのice GUARD 6は、水膜を吸い込む機能を持つ素材を配合した「プレミアム吸水ゴム」を採用し、タイヤが氷の路面にきちんと接地するように設計されています。
また、氷の上のグリップ性能はタイヤが接地する面積が広いほうがよくなりますが、雪の上のグリップ性能はタイヤの溝が効果的に配置されていることが重要です。タイヤの溝が雪を固めて、その固まった雪を引っかいているのです。
ice GUARD 6は、この氷上と雪上のバランスを高めるために、タイヤの外側と内側で溝のデザインの異なる「非対称パターン」を採用しています。内側は氷上に効くように接地面積が広いデザインを、外側は雪を強力に掴むために溝を多めに配置したデザインを採用しています。

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