BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

BACKSIDE MAGAZINEが伝えたいこと Vol.1

2016.09.02

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フリースタイルスノーボーディングの再構築

“フリースタイル”。あらゆる分野において、形式の制約がないもの、もしくは少ないものを指す言葉である。無構成の音に即興で自由な型のラップを入れるヒップホップのフリースタイルが前者であるとすれば、水泳の自由形はスピードを競うという制約があるため後者にあたる。自らの感性を最大限に表現できる“自由”なフリースタイルと、制約が課せられた中から自由に選択する“不自由”なフリースタイル、そう言い換えることができるだろう。
 
スノーボードの場合、一般的にはアルペン競技と一線を画する言葉として用いられるが、専門的な視点からは、ハーフパイプやビッグエアなどの競技を括る際にフリースタイルという言葉を用い、また、キッカーやレールなどで繰り出されるアクションの総称としてこう呼ぶ。
 
競技におけるトリックの選択は自由だ。しかし、それを繰り出すアイテムのスペックは決められているため、その条件の中で勝つための技をセレクトすることになる。現在の競技レベルでは、ハーフパイプはダブルコーク以上、ビッグエアはトリプルコーク以上が求められる時代。トリックが進化するほど制約は強まり、フリースタイルがどんどん不自由になっていく。
 
こうした背景を踏まえ、コンテスト界で頂点に君臨した者だけが許される次なるステージ。元来の自由なスノーボーディングを求め、マウンテンフリースタイルへと移行するのだ。大自然が織り成すヒットポイントで自由にトリックを繰り出し、さらなる自由を得るためにそれらを線で繋ぐための滑走ラインを描く。トリックの仕掛け方からラインの取り方まで、すべて自分次第。まさに“フリースタイル”というわけだ。
 
これはトッププロの話なので非現実的ではあるが、スケールダウンさせて考えてほしい。
 
スノーボードを始めた動機として最たるものは、“飛びたい”“回したい”という欲求で間違いないだろう。まぎれもなく筆者もそうだった。スノーボードを始めた90年代初頭はパークが少なかったことから、これらの欲求を満たせるヒットポイント(地形)を探しながら縦横無尽にゲレンデ内を駆け巡っていたものだ。自然とボードコントロールの技術が身につき、パーク全盛の現在では希少となったハーフパイプが主流だったため、パイプライディングでそれが研ぎ澄まされたいった。
 
しかし、シーンが成熟した現在。クオリティはともかくとして、ほとんどのゲレンデにパークが用意されている。環境が整備されたうえに、始める動機は今も昔も変わらない。当然、すぐにパークを目指すことになる。カービングターンができなくてもジャンプやボックスでは遊べるため、実のところパイプを飛ぶことができないスノーボーダーが多いのではないか。フリーライディングを軽視し続けてきたことにより、滑りの基礎ができていないスノーボーダーがあふれているという見解だ。
 
ライダーと呼ばれるエキスパートたちは、こうしてパークライディングでトリックに磨きをかけ、先述したようにマウンテンフリースタイルの世界へ身を投じている。それは、制約から解き放たれた先に、さらなる“自由”があるから。だが多くのスノーボーダーたちは、この制約を取り払う術を持っていない。これは、パークライディングを否定する話では決してない。プロであればより高みを目指すため、一般にとっては抱き続けている欲求を満たすための過程において、やはりフリーライディングがもっとも大切なのである。その先に、不自由を自由に変えるための滑走力が培われていくのだ。
 
こうした価値観を軸に、BACKSIDEではフリースタイルスノーボーディングを再構築していく。
 

BACKSIDE編集長 野上大介

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