BACKSIDE (バックサイド)

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COLUMN

リオ五輪を終えて改めて振り返る。ソチ五輪で垣間見た平岡卓の強さ

2016.09.02

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結果がすべてじゃない

日本中を感動の渦に巻き込んだリオデジャネイロ五輪。日本は金12、銀8、銅21の計41個のメダルを獲得し、過去最多という偉業を成し遂げた。
 
日本人選手たちから多くの感動を与えてもらったわけだが、水を差すような話題もあった。卓球男子個人戦で銀メダルを獲得した水谷隼選手の試合後の派手なガッツポーツについて、野球評論家の張本勲氏がテレビ番組で「あんなガッツポーズはダメ」と注意したという記事だ。スポーツだから礼儀が大切という話なのだろうが、それを読んだとき、あることを思い出した。そう、2014年のソチ五輪ハーフパイプ男子で平野歩夢が銀、平岡卓が銅メダルを獲得したときのことだ。
 
ソチ五輪を通じて日本人選手初のメダル獲得だったことや、平野が国内最年少の冬季五輪メダリストに輝いたこともあり、マスコミは非常に大きく取り上げた。そのときの取り上げ方のひとつに、メダルを獲ったにも関わらず、さらには2人とも10代だったことを引き合いに出して「クールすぎる」「テンションが低い」など、前述した内容とは対照的な話題があがっていたように記憶している。
 
そこで、これまであまり語られてこなかった話を少しだけ。オリンピック直後に平岡に話を聞いたのだが、あのときの心境についてこう答えていた。その前に思い出してほしい。ハーフパイプのコンディションは、決してベストとは言えない状態だった。
 
「(銅メダルを)“獲っちゃった”みたいな感じでした。コンディションがベストじゃなかったし、みんなが出し切れてなかった中での結果だったから、素直に喜べなかったというのが本音」
「条件はみんな一緒だったけど、もっといいコンディションでやりたかった。その中で勝ちたかった」
 
これが平岡の本音であり、大逆転で銅メダルを獲得したメンタルの強さである。素晴らしい結果だとしても、それがすべてじゃない。中身が重要なのだと、当時18歳の平岡は言っていたのだ。この話を張本氏が耳にしたら必ずや「あっぱれ!」と言い放つに違いない。

photo: Takeshi Nakahara/Red Bull Content Pool

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