BACKSIDE (バックサイド)

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INTERVIEW

平野歩夢に訊いた US OPENに挑む静かなる熱き想い

2017.03.04

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現地時間の3月2日、アメリカ・コロラド州ベイルマウンテンリゾートで行われているBURTON US OPEN男子ハーフパイプ・セミファイナルにおいて3位通過を果たし、4日に開催されるファイナルへの切符を手に入れた平野歩夢。オリンピックでの銀メダルやX GAMESオスロ大会での金メダリストとして君臨しているだけに当然のように感じられる読者諸兄姉もいるかもしれないが、今季の歩夢はX GAMESアスペン大会に続いてようやく2戦目。大会に出ないのではなく“出られない”という状況に葛藤しながらも、この舞台での頂点を目指して調整に励んできた。今大会での初優勝を狙う歩夢の境地を探る。

 
今シーズンはほとんどの大会に出場できていないけど、US OPENに臨む今の心境は?
大会に出られること自体が楽しみですね。自分の持っているものを試せる場所だから。今まではそれが当たり前のように何戦もあって、大会ごとに自分の課題を見極めるようなやり方ができてたけど、今シーズンはそれができていない分、過去の大会での自分に対する評価を踏まえて、今、何をしなきゃいけないのかっていうものを大会でぶつけて、誰にも文句を言わせないようなランをするだけです。そこに攻めの気持ちを持ちつつ、今の自分自身をぶつけるだけだと思ってます。大会に出られる楽しみと、その大会に出られなかった自分の気持ちをしっかり出すことができれば、いつもどおりのランができるのかなって思いますね。
 
大会に出ることが許されなかった分、練習に集中したシーズンを過ごせていたの?
どうなんだろう……。去年の自分を思い出すと、本当にスノーボードや大会に集中できていました。大会のパイプはクオリティが高いから、公開練習ってすごく重要なんですよね。新しい技を覚えてもルーティンでつなげることがすごく難しい。そういう練習は、大会で用意されているリップが整ったいいパイプじゃないとできなかったりするから。高難度なトリックを上から下までつなげることを試せる環境って、大会しかないんです。普通に出られてたときに比べたら屈辱っていうか、そういう風に感じる部分も少なからずあって、でも、その思いがあるからこそできることも十分にあると思うから。そういう気持ちを信じて、US OPENではやれることをやるしかないですね。
 
1月のX GAMESでの滑りはラストヒットのBSダブルコーク1260でミスが出たとはいえ、お世辞抜きで世界最高峰のルーティンだったと思う。US OPENでも同じように攻める?
そうですね。めっちゃ攻め時期だなって思ってます。優勝を狙えるランをするしかないなって。(ピョンチャン)オリンピックでもそういう状況になるだろうと思ってるから、大会に臨む気持ちにしっかりと慣れななきゃですね。優勝を狙えるランをするためにも、その直前の公開練習、その前日の生活……っていうルーティンをしっかり作っていきたいですね。
 

年始にSAJ(全日本スキー連盟)の強化指定選手として登録されたというニュースが流れたにも関わらず、FIS(国際スキー連盟)が主催するワールドカップへの出場が許されていない歩夢。その理由は定かではないのだが、このインタビューからもわかるように、大会を転戦している海外ライダーたちと比較すると、不利な状況であることは間違いない。だが、その募る想いをいい方向へ爆発させることも可能だと本人は語っているだけに、現地時間の3月4日(土)14時(日本時間では3月5日の6時)から、ベイルのハーフパイプで天高く宙を舞う歩夢の勇姿を見届けたい。

text + photo: Daisuke Nogami(Editor in Chief)

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